ピューリタン・バックルーム(Puritan Backroom)
– 伝統的アメリカ料理 –
レポート:Y.B
地域のコミュニティに根差したアメリカの伝統的なレストランが授与される、America’s Classics Award(アメリカのクラッシック賞)という賞があります。「料理界のアカデミー賞」と言われるジェームズ・ビアード賞と同様、こちらもジェームズ・ビアード財団によるもので、レストランとしてはまた違った名誉があります。

ただ先にも述べたようにジェームズ・ビアード賞とは全く内容が異なり、味というよりその地域で何世代にも渡って愛されてきたという歴史的な価値に対して称えられるので、驚くほど美味しいというより、懐かしくほっとするコンフォートフード的な料理が多いです。でもこうして賞となるくらい、時にこんな料理を味わうことが何より貴重に思えることがあります。特に少しずつこの世から消えつつある料理だと思うと、なおさらのこと。
というわけで先日、2020年受賞したニューハンプシャーの「ピューリタンバックルーム」に行って来ました。とにかくいつも混んでいるということなので、息子と2人、平日の空いた時間を見計って。
ここは1917年に、あるギリシャ移民がお菓子屋として設立し、後にその子供達がバックルーム(奥の部屋)を建て現在のレストランの経営を始めました。アメリカ大統領選キャンペーンの地方訪問の際に立ち寄るレストランとしても知られており、最近ではヒラリークリントンやバイデン大統領も立ち寄っているそうです。
ここの目玉商品はチキンフィンガーという胸肉のフライで、プロセスされた鶏肉の冷凍食品を使うのが一般的なアメリカで、昔から胸肉を使ってきました。というわけで迷わず、前菜にナチョス、メインにチキンフィンガーをオーダーしました。あまりお腹が空いてなかったので、メインをシェアしたいと言うと、チキンフィンガーを2つのお皿に分けて持ってきてくれました。実はこれ、最近のレストランでは嫌がられることが多くなってきましたが、古いレストランや田舎のレストランでは当たり前のようにしてくれるサービスです。
チキンフィンガーは、オリジナル、バッファロ、スパイシー、ココナッツの4つのスタイルがあり、特製ディップのダックソースがついてきます。迷いながらも最初は基本からと思い、オリジナルをオーダーしました。とてもクリスピーに揚がっていて美味しかったのですが、マリネがほんのり甘いのが少し気になりました。あとから色々とレビューを読んでいると、スパイシーやココナッツの方が人気があるようだったので、前菜にあった4種類ついてくるサンプラーの方が全部試せて良いかもしれません。この場合、スープやサラダなどのサイドはついてきませんが。
さてここまで読んでみて行ってみようと思った方、もし実行することがあれば以下の点に注意を払うと、より充実感があると思います。
まずメニューを見ると、すごい数の料理が並んでます。ナチョスやラップなど今時のものを取り入れながらも、バーガーやスープ、デザートなどアメリカ人が昔から好きな基本の料理が豊富にあります。メインも前菜も数品しかない方が良いみたいなこの時代、こんなメニューを見るだけでもアメリカという気分にさせられると思います。ちなみにこういったダイナー風のレストランでは、凝った料理や下手にヘルシーっぽい料理は当たり外れが多いので、ベーシックなものをオーダーする方が無難です。

他にフローズンドリンクの数々もチェックしてみてください。昔はどこのレストランにもあったフローズンカクテル、今日改めて最近目にすることがなくなったことに気づきました。実はここ、チキンフィンガー以外にあるもう1つの名物が、マッドスライドいうコーヒーのフローズンドリンク。甘いけどなかなか美味しいので、デザート代わりに飲んでみるのもおすすめです。
最後に客層です。時間帯にもよるかもしれませんがが、老人の客層がとても多いです。昔から通ってるのかなと思う老夫婦がチキンフィンガーを片手に、フローズンカクテルを飲んでいるのを見ると、微笑ましくなってきます。そして同時にこんな光景に歴史を感じてしまいました。
ということで、以上がレポートになります。料理のサイズが小さくなりヘルシー思考が高まる中、たまにこうしたレストランに行くとほっとします。アメリカ生活が長い方にはきっと懐かしく感じるし、そうでなくても、やっぱりそんな雰囲気が伝わってくると思います。
こうして地元民から長い間愛されている料理を食べ歴史を感じるという経験、やっぱり良いなっと思いながらレストランを後にしました。
お店の情報
ピューリタン・バックルーム|クラッシックアメリカン
245 Hooksett Rd, Manchester, NH 03104
ランチ: 水〜日曜日のみ11am–2pm.
ディナー: 毎日4pm–8pm
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