ここ数年で急速に増えてきたイスラエルレストラン。イスラエルという国自体に馴染みがない方が多いと思うので、イスラエル料理と聞いてどんな料理なのか想像できる方は少ないと思います。地理的に中東や地中海料理と似ているのかと想像しがちですが、実はそうでなく、世界のどこにもないとてもユニークな料理なのです。
イスラエル料理がユニークな理由
イスラエル料理がどうしてそんなにユニークなのか、これはイスラエルの歴史と大きく関係しています。ローマ帝国に滅ぼされ国を失ったユダヤ人は、その後世界中に離散(ディアスポラ)しますが、その間も故郷への思いを持ち続け、ついに2000年後の1948年にイスラエルを建国します。やがてこの新しい国に、離散していたユダヤ人が世界中から集まり、少なくともユダヤ人側からしたら、自らの地を取り戻すのに成功したわけです。
このようにアラブ人を始めいろんな民族が暮らすこの地へ、世界中から集まったユダヤ人が加わって生まれたイスラエル誕生の経緯はとてもユニークで、そんな歴史の元に出来上がったイスラエルの料理もやはり他にはなくユニークなのです。
イスラエル料理とは?
「イスラエル料理というものは存在しない」という言葉を聞くことがありますが、これはどういうことなのでしょうか?それは、様々な地から集まったユダヤ人達は、イスラエルに移住してからもそれぞれが食べ慣れた母国の料理を食べ続けてきたため、全国民が食べるいわゆる国民食的な料理がほとんどなかったということです。
しかし建国から70年以上が過ぎた今、少しずつ国としてのまとまりができてきたように、料理においてもイスラエル料理というものが形になってきています。
それは元々この地に存在した中東や地中海料理をベースに、ユダヤ教徒の食習慣や持ち込まれた世界の要素が加わってできた料理です。幸運にも食材が豊かで知られる地中海に国を構え、世界中の美味しい要素をパレットに持ったイスラエルは、それらを自由にブレンドしながら自国の料理を築いてきました。またニューヨークやフランス、ロンドンなど都会からの移住者も多いため、洗練した都会的な要素が加わっているのも他にはない特徴でしょう。
今後も人気が高まるイスラエル料理
こうして新しく出来上がったイスラエル料理は、万人受けする今時の料理が多いだけでなく、西洋の要素とイスラエルの地に古くから存在するエキゾチックな要素をうまくブレンドさせているため、馴染みがあるけれどどこかちょっとエキゾチックという、今欧米諸国の若い世代求められている味が多いなどの利点をたくさん持っています。
また世界中にユダヤ人の大きなネットワークがあるため、ビジネスの海外進出がしやすいだけでなく、海外の情報を手に入れやすく、今後もそんな有益な情報を元に今求められている新しい料理を自国の料理として発信していくでしょう。
以上のような理由からも、イスラエル料理の人気は今後も高まり続けるのが想像できると思います。
アメリカのイスラエル料理
アメリカにおけるイスラエル料理の先駆けとなったのは、イスラエル系のベーカリーです。パンやお菓子の技術に優れた東欧系のユダヤ人が、ヨーロッパのパンに中東のスパイスやナッツなどエキゾチックな要素をブレンドしたパン は、アメリカで話題を呼びました。ニューヨークのBreads Bakery(ブレッズ・ベーカリー)やボストンのTatte(タッテ)などがその例です。
一見普通のベーカリーですが、バブカのようなアメリカではあまり馴染みのない東欧のパンをはじめ、ピスタチオのペーストが挟まったクロワッサンなど、その目新しさが主な人気の理由でしょう。クロワッサンにしてもバブカにしても元々はイスラエルの料理ではないですが、このように海外の料理をエキゾチックで今風にアレンジしたものがイスラエル料理として世界に発信されているのです。
さらに最近ではピタパンを使ったクリエーティブなサンドイッチで知られるMiznonなど、イスラエルのストリートフード系のレストランも多く見られるようになってきました。Miznonはアメリカのニューヨークやボストン以外にも、パリ、ウィーン、メルボルンにも店舗があり、日本にやってくるのも時間の問題かもしれません。
さらにニューヨークなどの都会では、高級でエレガントなイスラエルレストランなど、様々なスタイルのレストランが次々とオープンしています。まだまだ発展段階のイスラエル料理、これからどんな方向に展開し、どのように世界の食に影響を与えていくのか、楽しみでなりません。
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